プレ:教材持ち寄りワークショップ

※大阪府人権協会 人権NPO協働事業助成事業

●開催日 2019年4月13日(土)18:00〜21:00
●会 場 すみよし隣保館寿

●参加者 大阪市内識字・日本語教室関係者

●ファシリテータ 森 実さん(大阪教育大学)
●参加費 無料


学習会のながれ

1.この20年間の識字をめぐる変化について出し合おう

2.ユネスコが提唱する3つのスキルについて

3.ワークショップ”わたしの手”

4.ワークショップ”わたしたちの教室にある「活動としての教材」”

5.事務局からの提案・今年度の取り組みについて

6.事務局からの提案・全体会(大阪市内識字学級の交流会)での取り組みについて

7.事務局の気づき・感想


1.この20年間の識字をめぐる変化について

 この20年間の識字をめぐる変化についてそれぞれが感じていることを出し合いました。最近識字学級に参加した人は、その時点から感じている変化などを出してもらいました。出てきた項目・内容は以下のとおりです。

①学習者の変化
・外国人が増えた・地域の人が減った・高齢化・子どもたちの参加

②学習パートナーの変化
・教員が減った→市民ボランティアが増えた
・解放運動を知らない人が増えた

 

③学習場所の変化
・多くの教室が地区内施設から小学校の多目的室へ

④地域の変化
・施設がなくなった・地区内に戸建て住宅などが増え住民層が変化してきた・運動の変化

⑤行政の変化
・一泊研などがなくなった・謝金など

①〜⑤のような変化とともに、教室のあり方や学習内容が変化してきています。かつては社会教育の専門職である社会教育主事が地域の社会教育や識字の取り組みに関わっていましたが、そういった人たちが現場に関わることが少なくなっています。学習内容・教材については、従来のように生い立ちや生活交流が行なわれている面もありますが、大阪府の調査などによると、積み上げ式のテキスト・例えば「みんなの日本語」や日本語能力検定試験対策に関するものが増えてきており、例えば文化庁5点セットなど、「生活者としての外国人」のための学習内容・教材などがあまり活用されていない状況があると言われています。 

 

2.ユネスコが提唱する3つのスキルについて
a.基礎スキル
 (いわゆる読み・書き・算)
b.特定場面スキル
 (仕事や生活の場面で必要なスキル)
c.人生スキル
 (悩みの解決などに必要なスキル) 

ユネスコでは、a.b.cは常に同時に学ばれると言っています。ですから私たちが自覚的にこの3つを取り上げないと学習が結局今の社会で、はしごを登るためのようなものに終わってしまいかねません。大阪の識字運動もそのような問題意識で生い立ちや生活を大切にしてきました。

 

3.ワークショップ“わたしの手” 
a.4人1組のグループにわかれる
b.講師から“わたしの手”についてのエピソードに
  ついて話す
 ※今回は、講師が風呂屋でケガをして左手の
  小指が取れかけたという話を例示
c.配布された紙に手の絵を書き、
  そこに各自の手にまつわるエピソードを書く
d.書いたそれぞれのエピソードをグループで共有
e.グループで出てきたエピソードを全体で共有

 

a〜eの流れで、ワークショップを進めました。それぞれのグループで話し合ったことを全体で共有する際、あるグループは、ケガの話題が多く、また他のグループでは、小さい頃の生活や親のことを思い出したりして書いている人が多くでたとのことでした。「学習者さんの手は働いている手だ。教室でも色々な仕事をしてきたと話してくれる」、「自分の手だけど母の手を思い出す」、「今の手を見て書いたけど、過去を振り返る機会になった」との気づきもありました。  このワークショップは、昔、寿識字学級を主宰されていた大沢敏郎さんが行っていました。それぞれの手にまつわる“経験”を書き綴り、出し合い、わかち合う学習です。それぞれの生活や経験を語り合い、それを中心に教材を組み立てていくということは、これまで大阪の識字運動でも大切にされてきたことです。それを参加者同士で実践し、再確認しました。  各教室でもすぐに実践できる活動です。

この学習活動をとおして、教材観のとらえなおしを話し合いました。この教材の特徴は、プリントなどではなく、学習活動自身が教材になっているという点にあります。

そこで、わたしたちの教室にある「活動としての教材」を出し合う活動に移りました。

4.ワークショップ “わたしたちの教室にある「活動としての教材」”  
a.同じ教室の人が一緒のグループにならないようにグループ替え
b.各教室で実践されている“わたしたちの教室にある「活動としての教材」”を各自ポストイットに書き出す
c.書いたポストイットをグループ内で共有・模造紙に貼り出す
d.それぞれが書き出したポストイットをグループ分けする
e.各グループで話し合ったことを全体で共有 

 

 

各グループ内でポストイットをグループわけした際の項目は以下のとおりです。
(グループ1) ・身近な人権・みんなで力を合わせて!・大切な仲間、教室
       ・教室から飛び出そう!・ものづくり・食文化
(グループ2)・食文化・体験・文章を書く・ものづくり・外へ出かけた
(グループ3)・調理活動・ゲーム・うた・遠足・季節のイベント・作文・色々・アート、表現

 

5.今年度の取り組みについて
事務局から、今年度、大阪府人権協会の助成事業として教材に関する学習会を開催し、それらをまとめて冊子にしていくことなどについての説明と協力のお願いをしました。
★POINT★
ここでいう「教材」は、プレワークショップで共有された「活動としての教材」だということが重要なポイントです。  


第1回~第3回、ポスト講座

●開催日時

 第1回:7/27(土)
 第2回:10/19(土)
 第3回:12/12(土)
 ※大阪市教育委員会と連携して実施

 ポスト講座:1/25(土)
 ※第6回識字・日本語学習研究集会D分科会として実施

●ファシリテータ:森  実(大阪教育大学)
●対 象:識字・日本語学習関係者
●会 場:大阪教育大学天王寺キャンパス
●参加費:無 料


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